近所を散歩中、木製の小さなボートが、小学校の外壁をぐるりと囲んで取り付けられているのを見つけた。かなりの数だ。

おそらく歴代の6年生の作品だろう。
イラストと標語のような文が、木の板に絵の具で描かれている。

絵や字の上手い下手はともかく、そこに書かれたそれぞれの標語的一文が可笑しくて、私は一人でニヤニヤしながら見て回った。

多くは児童らしく、前向きな標語が目立つ。
「努力」とか「目標」とか、頑張って何かを達成したい熱血派と、「友達」とか「思いやり」とかを掲げるメルヘン派の、極端にいえば大きく2つのタイプに分かれる。


「努力は必ず報われる」と、ウサギとカメの絵を描く素直な子がいる。

「努力は報われるとは限らない。だから報われるまで努力するんだ!」と自分を追い込む、鬱予備軍みたいな子もいる。

「大事なのは結果ではなく、その過程である」と、どこかで聞いたような文言を綴る子もいる。

名門中学への進学率が高い公立小学校らしいので、受験をイメージさせる標語も多くある。


そんな中で、不細工な大仏を大きく描き、「良いことがあるまで、ゆっくり待とう」という暢気な子。

ハンバーガーとポテトを箸でつまんで食べる猫を描き、「好きなものを食べよう!」という、自分に優しい子。

「細かい男はモテないぞ。もっとおおらかにいこう!!」と、小学生ながら的を射た提案をする子。

「本当に友達はタカラモノなの?」と、早くも人生に懐疑的な子もいる。


それから、新幹線らしき乗り物が描かれていて、「人生に乗り遅れるな!」というのがあった。おそらく少年の作品だ。

この子にとって、「人生に乗り遅れる」って、どんな意味なんだろう。

ちゃんと進学して卒業して就職して、結婚して子供をもって…っていうような、安定した、成功した、定型の人生ってことなんだろうか。

少年よ、新幹線だって安心じゃないぞ。
もし乗り遅れたら、あとからゆっくり行ってもいいんだよ。

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ちょっと肉割れみたいな、今日の雲。